30 6月 自動採寸とは?アパレルEC出品の採寸を自動化する仕組み

アパレルECやブランドリユースECの出品作業(ささげ業務)の中で、「採寸」はメジャーを当てて数値を読み、手動で入力する……という、地味ながら非常に時間のかかる工程です。
1着あたり3〜5分かかるとすると、1日100着出品する場合、採寸だけで毎日5〜8時間ものリソースを費やしている計算になります。
「出品数を増やしたいけれど、採寸がボトルネックになって進まない」とお悩みの現場リーダーや経営者の方も多いのではないでしょうか。
近年、AI技術を活用した「自動採寸」が実用化され、この膨大な工数を劇的に短縮できるようになりました。本記事では、自動採寸の基本的な仕組みから、導入のメリット・注意点、さらに自社に合うツールの見極め方までを分かりやすく整理します。
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自動採寸とは

自動採寸とは、商品の画像データから各部位のサイズをAIが自動的に算出する技術のことです。
商品をカメラで撮影するだけで、肩幅・身幅・着丈・袖丈などの必要な採寸値が瞬時にシステムへ記録されます。
従来の採寸業務と自動採寸の違いは以下の通りです。
・従来の採寸(3ステップ): ①人が服にメジャーを当てる ➡ ②長さを目視で読み取る ➡ ③PCやスマホのフォームに手打ちで入力する
・自動採寸(1ステップ): ①商品を撮影する(これだけで採寸値が自動で記録・入力される)
「測る」「読む」「打つ」という3つの工程が「撮影する」という1つのアクションに集約されるため、バックヤードのオペレーションが劇的にシンプルになります。
自動採寸が動く「3つの工程」

自動採寸ツールは、裏側でどのような仕組みで動いているのでしょうか。技術的なプロセスは、大きく以下の3つのステップに分かれています。
1.画像認識
撮影された画像から、AIが「これはシャツである」「これはパンツである」と服の形を判別します。
その上で、商品の輪郭や、採寸に必要な基準点(肩の切り替え位置、身幅の端、袖口など)を正確に特定します。。
2.基準スケールの推定
画像の中の「何ピクセルが、現実の何センチに相当するか」を計算します。
多くのツールでは、専用の背景紙(基準となるドットやマーカーが付いたもの)を敷いて撮影することで、カメラとの距離や角度が変わっても正確な寸法を割り出せるように精度を担保しています。
3.採寸値の算出
1と2のデータを掛け合わせ、AIが各部位の具体的な長さを算出します。特定された基準点間のピクセル数を現実のセンチメートルに換算し、肩幅、身幅、着丈などの数値として一瞬でアウトプットし、システムへ自動入力します。
自動採寸でできること・できないこと

自動採寸は非常に便利な技術ですが、万能ではありません。自社の取扱商品との相性を見極めるために、「得意な領域」と「苦手な領域」を把握しておきましょう。
できること
アパレル(衣類)の主要部位の採寸です。シャツ・ブラウス・ジャケット・パンツ・スカート・ワンピースなど、定型的な構造の商品で精度が出ます。
できない(または苦手)こと
立体的・不定形の商品の採寸です。バッグの内寸、靴のサイズ、ジュエリーの寸法などは現時点では人の作業が必要です。
また、極端に凝った形状(変形デザイン)も精度が落ちる場合があります。
つまり、自動採寸は「アパレル(古着・洋服)中心の事業者」で最大の効果を発揮する技術であり、雑貨や家電が中心の事業者では部分的な活用にとどまります。
自動採寸を導入する3つのメリット

自動採寸の導入は、現場の効率化だけでなく採用や教育の課題解決にも直結します。
メリット1:作業ステップの削減によるスピードアップ
手計測と手入力の手間が完全になくなるため、採寸にかかる手数が圧倒的に少なくなります。
従来のメジャーを使った計測では、どれだけ作業に慣れたベテランスタッフであっても「服にメジャーを当てて、目盛りを読み、キーボードで入力する」という一連の動作に一定の時間がかかっていました。 自動採寸を導入すれば、「写真を撮るだけ」でデータ入力まで同時に完了するため、1着あたりの処理ペースが物理的に向上します。
出品ペースのボトルネックになりがちな採寸がスムーズになるため、今いる人員のまま出品数を増やすことが可能になります。
メリット2:担当者によるばらつきの解消。
従来のメジャーを使った手計測は、スタッフによって「生地をどこまで引っ張って測るか」「どの位置を基準にするか」の認識に微妙なズレが生まれやすく、目視の癖によって数センチの誤差が出がちでした。この表記のばらつきは、ECサイトにおける「届いた服のサイズが合わない」という返品や、クレームの原因になります。
自動採寸を導入すれば、毎回AIが一定のロジックに基づいてデジタル計測を行うため、誰が作業しても同じ基準の正確な数値を算出できます。サイズ表記の品質が均一化されることで、購入者の安心感に繋がり、返品リスクを抑えるメリットがあります。
メリット3:即戦力化と教育コスト削減
洋服を正確かつスピーディーに計測する技術は、これまでは経験を積んだベテランスタッフでなければ難しい「職人技」のような工程でした。新人の教育には長い時間がかかり、人手不足の現場にとって大きな負担となっています。
自動採寸を導入すれば、主要な作業は「写真を撮るだけ」に変わるため、入社したばかりの新人やアルバイトスタッフであっても、初日からベテランと同じ精度・同じスピードでデータを登録できるようになります。教育の手間が大幅に減るため、バックヤードの採用・運用のハードルがグッと下がります。
費用対効果をシミュレーション

自動採寸を導入すると、具体的にどれくらいのコストや時間が削減できるのでしょうか。
ここでは仮に、一般的な手計測・手入力にかかる時間を「1着あたり4分」、自動採寸を「1着あたり1分(撮影時間のみ)」に短縮でき、スタッフの時給を1,200円として計算してみます。
まず「1着あたり」のコストに換算すると、メジャーを使った従来の採寸(4分)には、人件費として約80円がかかっています。これが自動採寸(1分)に変わることで、コストは約20円まで下がります。つまり、服を1着出品するごとに「3分の時間」と「60円のコスト」が自動的に浮いていくことになります。
「たット60円、されど3分」と思うかもしれません。しかし、これが積み重なって「1,000点」になるとどうでしょうか。
従来のやり方では採寸だけで通算「約66時間」かかっていましたが、自動採寸なら「約16時間」に激減。つまり、合計で「50時間のゆとり」が生まれ、人件費換算で「約6万円」ものコストが浮く計算になります。
週単位、月単位での出品数が少なくても、バックヤードで1着ごとに発生している「目に見えない損失」は確実に蓄積されていきます。自動採寸の導入は、その無駄を根本から断ち切るための手段です。
注目すべきは、単に「お金が浮く」だけではないという点です。削減できたこの膨大な時間を、より売上につながる他の重要業務やコア業務にシフトできることこそが、自動採寸がもたらす本当の費用対効果(ROI)と言えます。
導入時の3つの注意点

スムーズに自動採寸を現場へ定着させるために、事前の確認事項を3つにまとめました。
確認1:「取扱カテゴリ」の比率
前述の通り、自動採寸が最も効果を発揮するのはアパレル(衣類)です。自社の在庫や出品データのうち、洋服が占める割合がどのくらいあるかを事前に把握しておきましょう。
確認2:「撮影環境」の確保
多くの自動採寸ツールは、基準マーカーの上などで撮影を行います。そのため、撮影環境を確保し店舗や倉庫のレイアウトと運用ルールを事前にシミュレーションしておく必要があります。
確認3:事前の精度検証
AIの認識度合いは、扱う商材の傾向や生地の質感(光沢の強い素材や、編み目が粗いニットなど)によって影響を受ける場合があります。
本格的に導入する前に、必ず実際の自社の商材を使ってテスト撮影を行い、運用に問題がないかを検証することが推奨されます。
代表的な自動採寸ツール

国内でアパレルEC・リユースECに対応している代表的な自動採寸ツールとして、ニコンシステムの「SAISOON」と、弊社の「SASAGE.APP」の2つが挙げられます。
どちらもAIによる自動採寸の精度は非常に高いですが、もっとも大きな違いは「採寸だけを自動化するか」それとも「ささげ業務全体を自動化するか」というカバー範囲にあります。
それぞれのより詳しい機能の違いや、初期費用・料金プランの具体的な比較については、下記の解説記事で分かりやすくまとめています。ぜひツール選定の参考にしてみてください。
まとめ
自動採寸は、人手不足や出品の遅れに悩むアパレルEC・リユースECの現場を大きく変える技術です。 今回の記事でお伝えした通り、導入によって作業スピードの向上や品質の均一化が実現するだけでなく、1,000点の蓄積で50時間ものゆとりが生まれ、そのリソースを他の重要業務へ投資できるようになります。
とはいえ、自社の取扱商材で本当に精度が出るのか、現在の倉庫レイアウトや撮影フローをどう変更すべきかなど、導入にあたって疑問や不安を感じる部分も多いかと思います。
そこで、まずは現状のバックヤードのお悩みや、ちょっとした疑問を一度クリアにしてみませんか。
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