滞留在庫を生まないEC出品体制のつくり方

リユースECの市場は年々拡大を続けています。
一方で、「商品は十分にあるのに売上が伸びない」「倉庫が商品でいっぱいなのに利益につながらない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
こうした課題の背景にあるのが、「滞留在庫」です。

滞留在庫と聞くと、多くの方は「売れ残った商品」をイメージするかもしれません。
しかし、リユースECでは少し意味が異なります。
一点物を扱うリユース業界では、商品は仕入れた時点ではまだ売れる状態ではありません。
撮影・採寸・商品情報の作成・ECモールへの登録といった出品工程を経て、初めてお客様が購入できる商品になります。
つまり、仕入れた商品が出品されるまでの時間そのものが、利益を生まない時間となります。

近年は人手不足や取扱点数の増加に加え、複数のECモールへの対応などにより、出品業務はますます複雑になっています。その結果、撮影待ちや採寸待ちの商品が増え、「商品はあるのに販売できない」という状態が慢性化している企業も少なくありません。
滞留在庫を減らすためには、仕入れを抑えることや人員を増やすことだけでは不十分です。本当に必要なのは、商品が滞留しない出品体制そのものを見直すことです。
本記事では、リユースECにおける滞留在庫の考え方から、発生する原因、改善のポイントまで、現場目線で詳しく解説します。

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リユースECにおける滞留在庫とは

一般的な滞留在庫との違い

一般的に「滞留在庫」とは、一定期間売れずに倉庫へ保管されている在庫を指します。新品を扱う小売業では、需要予測のずれや過剰な仕入れなどが主な原因となり、在庫回転率や値下げ販売などが改善策として挙げられます。
一方、リユースECでは滞留在庫の考え方が異なります。
リユース商品は一点物であり、同じ商品を追加で仕入れることはできません。また、商品の状態やサイズ、付属品なども一つひとつ異なるため、すべて個別に撮影・採寸・商品説明の作成を行う必要があります。

つまり、リユースECでは「売れないから在庫が残る」のではなく、「出品されていないために販売機会が生まれていない」というケースが多く存在します。
そのため、滞留在庫を改善するためには在庫数だけを見るのではなく、「商品がどの工程で止まっているのか」という視点で現場を見直すことが重要です。

「未出品在庫」は利益を生まない

リユースECでは、商品は出品されて初めて売上を生み出す可能性を持ちます。

例えば、1,000点の商品を仕入れていたとしても、そのうち300点しか出品できていなければ、お客様が購入できる商品は300点だけです。
残りの700点は倉庫に保管されている資産ではありますが、ECサイト上には存在していないため、売上にはつながりません。
さらに、リユース商品には「売れやすいタイミング」があります。季節商品はシーズン前、トレンド商品は話題になっている時期、高級ブランド品は市場価格が高いタイミングなど、販売機会は常に変化しています。
出品が数日、あるいは数週間遅れるだけで、本来得られたはずの利益を逃してしまうケースも珍しくありません。

つまり、リユースECにおける滞留在庫とは、「商品が倉庫にあること」ではなく、商品が売れる状態になるまで時間がかかっていることを指します。
この考え方を理解することが、滞留在庫を改善するための第一歩です。

滞留在庫が増える4つの原因

滞留在庫は、ある日突然増えるものではありません。
日々の業務の中で発生する小さな遅れが積み重なり、気づいた頃には「商品はあるのに出品できていない」という状態になっています。
「人手不足だから仕方がない」と考えられがちですが、実際には業務フローや管理方法に原因があるケースも少なくありません。
ここでは、リユースECで滞留在庫が発生しやすい代表的な5つの原因を紹介します。

出品工程にボトルネックが発生している

一般的には、検品・撮影・採寸・商品情報の作成・ECモールへの登録といった複数の工程を経て、ようやく販売が開始されます。
問題は、これらの工程のどこか一つでも処理が追いつかなくなると、その先の工程すべてが止まってしまうことです。これが「ボトルネック」です。
例えば、撮影は終わっているのに採寸待ちの商品が大量に残っていたり、商品説明の作成が追いつかず公開待ちの商品が増えていたりすると、その商品は販売機会を失ったまま倉庫に滞留してしまいます。
また、現場では一つの工程だけに負荷が集中することも珍しくありません。繁忙期に撮影件数だけが急増したり、特定カテゴリの商品だけ採寸に時間がかかったりすると、全体の作業スピードはその工程に引っ張られてしまいます。
重要なのは、「どの工程に時間がかかっているのか」ではなく、「どの工程が全体の流れを止めているのか」を把握することです。

滞留在庫を改善する第一歩は、出品件数を増やすことではなく、出品工程のボトルネックを特定し、解消することから始まります。

属人化によって出品スピードが左右されている

商品の状態やブランド、カテゴリごとに判断が必要になる場面が多く、経験豊富な担当者に作業が集中しやすい傾向があります。
例えば、
・ブランドバッグの真贋確認は○○さんしかできない
・採寸ルールを理解しているのは△△さんだけ
・商品説明を書くのはベテラン担当者だけ
このような体制では、特定の担当者が休暇を取得したり、他の業務に追われたりすると、その工程全体が止まってしまいます。
属人化が進むと、業務品質を維持できる一方で、処理能力は担当者の稼働状況に大きく左右されます。その結果、出品待ちの商品が徐々に増え、滞留在庫の発生につながります。
また、繁忙期にはベテラン担当者へ確認依頼が集中し、「確認待ち」「修正待ち」といった新たな滞留が発生するケースも少なくありません。
もちろん、高い専門性を持つ担当者の存在は企業にとって大きな強みです。しかし、その知識やノウハウが個人に依存したままでは、組織全体の生産性を高めることは難しくなります。

滞留在庫を減らすためには、作業手順や判断基準を標準化し、複数の担当者が対応できる体制を整えることが重要です。属人化を解消することで、担当者が変わっても安定した出品スピードを維持しやすくなります。

出品状況を把握できていない

滞留在庫は、商品が止まっていることに「気づけない」ことで深刻化するケースが少なくありません。
「最近出品が遅れている気がする」「撮影待ちの商品が増えているようだ」と感じていても、実際にどの工程で何点の商品が滞留しているのかを把握できていない企業は少なくありません。
撮影待ちなのか、採寸待ちなのか、それとも商品情報の作成や確認作業で止まっているのかが分からなければ、適切な改善策を講じることはできません。
また、担当者ごとの作業量や日々の出品件数が把握できていない場合、「忙しい」という感覚だけが先行し、本当のボトルネックを見逃してしまうこともあります。
仮に、撮影担当は予定どおり作業を進めている一方で、採寸工程に商品が集中しているのであれば、撮影担当を増やしても滞留在庫は解消されません。
重要なのは、誰が忙しいかではなく、どの工程で商品が止まっているのかを把握することです。
商品ごとの進捗や各工程の滞留数を継続的に確認することで、ボトルネックを早期に発見し、改善につなげることができます。その結果、出品スピードが安定し、滞留在庫の発生を未然に防ぎやすくなります。

滞留在庫は、管理できていないから発生するのではありません。現状を把握できていないことで、改善すべきポイントを見つけられないことが大きな要因です。

滞留在庫セルフチェック

ここまで、滞留在庫が発生する主な原因について解説してきました。
しかし、実際の現場では「滞留在庫がある」という認識はあっても、その深刻さに気づいていないケースも少なくありません。
まずは、自社の出品体制を振り返りながら、現在の状況を確認してみましょう。
次の項目で当てはまるものがいくつあるかチェックしてみてください。

チェックリスト

□ 商品を仕入れてから出品まで1週間以上かかることがある
□ 撮影待ちや採寸待ちの商品が常に発生している
□ 誰がどこまで作業しているかすぐに分からない
□ 特定の担当者しか対応できない工程がある
□ 繁忙期になると出品件数が大きく落ちる
□ 出品件数より仕入れ件数の方が多い状態が続いている
□ 商品がどの工程で止まっているのか把握できていない
□ 「あとで出品しよう」と保留になっている商品がある

チェック結果の目安

0~2項目
現在の出品体制は比較的安定しています。
ただし、取扱商品数や人員体制が変化すると、新たなボトルネックが発生することもあります。定期的に出品工程を見直し、現状を維持できるようにしましょう。

3~5項目
一部の工程で滞留が発生している可能性があります。
出品件数だけを見るのではなく、「どの工程で商品が止まっているのか」を確認することで、改善のヒントが見えてきます。

6項目以上
滞留在庫が慢性的に発生している可能性があります。
担当者個人の努力だけでは改善が難しく、業務フローや役割分担、進捗管理など、出品体制そのものを見直すタイミングかもしれません。

改善への第一歩

チェック項目が多く当てはまったとしても、必要以上に心配する必要はありません。
リユースECでは、取扱点数の増加や繁忙期、人員の異動などをきっかけに、一時的に滞留在庫が増えることは珍しくありません。
重要なのは、「滞留在庫があること」ではなく、なぜ滞留しているのかを把握し、改善につなげることです。
実際、多くの企業では現状を可視化し、ボトルネックとなっている工程を見直すことで、出品スピードが改善しています。
まずは現状を正しく把握し、一つずつ課題を解消していくことが、滞留在庫を生まない出品体制への第一歩となります。

滞留在庫改善の鍵は「出品リードタイム」

滞留在庫を改善するためには、出品件数や売上だけを見るのではなく、「どれくらいの時間で商品を出品できているのか」を把握することが重要です。
その指標となるのが出品リードタイムです。
リードタイムとは、ある工程が始まってから完了するまでにかかる時間を指します。リユースECでは、「商品を仕入れてからECサイトへ出品されるまでの時間」を出品リードタイムと考えると分かりやすいでしょう。
多くの企業では、売上や出品件数をKPIとして管理していますが、出品リードタイムまで継続的に管理しているケースはそれほど多くありません。
しかし、リユースECでは、この時間が利益を大きく左右します。

出品リードタイムが利益を左右する理由

リユース商品は、仕入れた時点では売上を生みません。
撮影・採寸・商品情報の作成を経てECサイトへ掲載されて初めて、お客様に見つけてもらい、購入される可能性が生まれます。
つまり、商品が利益を生み始めるのは、仕入れた日ではなく、出品された日です。
例えば、同じ日に仕入れた商品でも、翌日に出品された商品と、2週間後に出品された商品では、販売機会に大きな差が生まれます。
特にリユース商品は一点物であり、季節性やトレンド、市場相場の影響を受けやすいため、出品が遅れるほど本来得られたはずの販売機会を逃してしまう可能性があります。
また、商品が倉庫に保管されている期間が長くなると、保管スペースや作業スペースを圧迫し、新たな商品の出品にも影響を及ぼします。
このように、出品リードタイムは単なる作業スピードではなく、売上・利益・現場全体の生産性に直結する重要な指標なのです。

KPIとして管理する

出品リードタイムは、一度測定して終わりではなく、継続的に管理することが重要です。
例えば、仕入れから出品までの日数を目安として設定すると、現場の状況を把握しやすくなります。

仕入れから出品までの日数目安
当日~翌日理想的
2~3日良好
4~7日改善の余地あり
8日以上滞留リスクが高い

もちろん、適切な日数は取り扱う商品や業務内容によって異なります。
大切なのは、「何日以内が正解」と決めることではなく、自社の基準を設け、その基準を安定して維持できているかを確認することです。
また、平均日数だけでなく、「特定の商品カテゴリだけ遅れていないか」「繁忙期だけ大きく延びていないか」といった視点で確認することで、改善すべき工程やボトルネックも見つけやすくなります。

安定した出品リードタイムを目指す

出品リードタイムは、短ければ短いほど良いというものではありません。
品質を犠牲にしてスピードだけを追求すると、商品情報の入力ミスや採寸ミス、掲載内容の誤りなどが発生し、返品や問い合わせの増加につながる可能性があります。
重要なのは、品質を維持しながら、一定のリードタイムで安定して出品できる体制を構築することです。
繁忙期や担当者の休暇などで一時的に出品が遅れることはあります。しかし、その影響を最小限に抑えられる仕組みが整っていれば、滞留在庫は発生しにくくなります。
滞留在庫を減らすために目指すべきなのは、「最速で出品すること」ではありません。
継続して安定した出品リードタイムを維持できる体制こそが、売上と業務効率を両立するための理想的な出品体制といえるでしょう。

人を増やすより「流れ」を整える

滞留在庫を改善しようとすると、「まずは人を増やそう」と考える企業は少なくありません。
もちろん、業務量に対して人員が不足している場合は、人材の確保も必要です。
しかし、出品が滞る原因は、本当に人手不足だけなのでしょうか。
実際には、工程の流れや業務の進め方を見直すことで改善できるケースも多くあります。
ここでは、出品体制を見直すうえで重要な3つの考え方をご紹介します。

人員を増やしても解決しないケースがある

人員を増やせば処理能力は向上しますが、それだけで滞留在庫が解消するとは限りません。
例えば、撮影待ちの商品が多く発生している現場では、原稿作成の担当者を増やしても、撮影工程が追いつかなければ全体のスピードは改善されません。
また、担当者ごとに作業方法が異なっていたり、確認作業が特定の担当者に集中していたりすると、人が増えても新たな待ち時間が発生してしまいます。
このように、工程全体のバランスが取れていなければ、人員を増やすだけでは根本的な改善につながらないことがあります。
まずは、「どこで作業が止まっているのか」を把握することが重要です。

ボトルネックを見つけて改善する

出品工程は、「撮影」「採寸」「商品情報作成」「確認」「出品」といった複数の工程で構成されています。
その中で、一つでも処理が遅れている工程があると、後続の作業も順番待ちとなり、全体の出品リードタイムが長くなります。
そのため、改善を進める際は、まず工程ごとの作業時間や処理件数を可視化し、どこにボトルネックがあるのかを確認しましょう。
原因が分かれば、担当者の配置を見直したり、作業手順を標準化したりすることで、全体の流れを改善できるケースも少なくありません。
重要なのは、「忙しい工程」を増員することではなく、「止まっている工程」を改善することです。

標準化・システム・BPOを組み合わせる

出品体制を安定させるためには、人の力だけに頼らない仕組みづくりも重要です。
例えば、作業手順を標準化することで担当者による品質のばらつきを抑えられます。また、撮影や商品情報作成などを支援するシステムを活用すれば、作業時間の短縮や入力ミスの削減も期待できます。
さらに、繁忙期や人員不足の際には、BPO(業務委託)を活用することで、一時的な業務量の増加にも柔軟に対応できます。
大切なのは、どれか一つを選ぶことではありません。
自社の課題に合わせて、標準化・システム・BPOを組み合わせながら、継続して出品できる体制を構築することが、滞留在庫を防ぐ近道です。

まとめ

滞留在庫は、「商品が売れない」という問題ではありません。
本当の課題は、商品が販売できる状態になるまでに時間がかかっていることです。
出品までの時間が長くなればなるほど、販売機会を逃し、売上や利益に影響を与えるだけでなく、保管スペースの圧迫や現場の負荷増加など、さまざまな問題につながります。
そのため、滞留在庫を改善するには、人員を増やすことだけを考えるのではなく、出品工程全体を見直し、どこで時間がかかっているのかを把握することが重要です。
特に、「出品リードタイム」を継続的に管理することで、ボトルネックを早期に発見し、改善につなげやすくなります。
また、作業の標準化やシステムの活用、必要に応じたBPOの利用など、自社に合った方法を組み合わせることで、品質を維持しながら安定した出品体制を構築できます。
滞留在庫を減らすために必要なのは、特別なノウハウではありません。
現状を正しく把握し、一つずつ改善を積み重ねていくことが、継続的な売上向上への第一歩となります。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは自社の出品体制を見直し、「どこに課題があるのか」を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

出品体制の見直しをご検討中の方へ

「出品が追いつかない」「滞留在庫を減らしたい」「今の運用方法が最適なのか分からない」。
この記事をご覧いただいて、このような課題に心当たりがあれば、一度現状を整理してみることをおすすめします。
滞留在庫の原因は企業によって異なります。工程設計や業務フローの見直しで改善できるケースもあれば、システムの活用やBPOとの組み合わせが効果的なケースもあります。

弊社では、リユースECの出品業務に携わってきた経験をもとに、お客様の運用状況に合わせた改善方法をご提案しています。
「まずは現状の課題を相談したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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